単発、多発に関係なく肺動静脈瘻ある方は必見
脳膿瘍とは
脳膿瘍(のうのうよう)とは、脳の中に細菌などの微生物が感染して膿(うみ)がたまる病気です。


原因と症状
オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症:HHT)に伴う肺動静脈瘻を原因とする脳膿瘍の初期症状は、一般的な脳膿瘍の症状と重なりますが、以下のような特徴があります。
主な初期症状
- 頭痛
- 比較的徐々に悪化し、持続性・反復性の頭痛として現れることが多い。
- 微熱・発熱
- 発熱は高熱でないこともあり、37度台の微熱程度である場合がある。
- 倦怠感・無気力
- 徐々に進行する疲労感や集中力の低下が起こる。
- 吐き気・嘔吐
- 特に頭蓋内圧が上昇する場合に起こりやすい症状。
- 神経症状(局所的な症状)
- 四肢の軽度な麻痺、感覚障害、視野障害、言語障害など、脳膿瘍の位置によって多様な症状が出現する。
- てんかん発作
- 初期の症状として、けいれんや発作が突然起きることがある。
- 意識レベルの軽度変化
- 集中力低下、注意散漫、ぼんやりした状態など、微妙な意識変容が認められる場合もある。
注意すべきポイント
オスラー病患者は肺動静脈瘻(シャント)を持つことが多いため、微生物が肺を経由して直接脳に達し、脳膿瘍を形成するリスクが高まります。
特に、以下の点が重要です。
- 肺動静脈瘻があるオスラー病患者が微熱、頭痛、倦怠感などの漠然とした症状を訴えた場合、脳膿瘍を疑うこと。
- 初期症状は非特異的であるため、症状が軽微でも注意深く評価することが必要です。
- 早期のMRIやCTによる画像検査を積極的に実施することが、診断遅延を防ぐために推奨されます。
脳膿瘍は迅速な診断と治療が予後を大きく左右する疾患です。オスラー病患者の臨床経過では特に早期発見が重要です。