オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症、Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia, HHT)は、遺伝性の血管疾患で、多発性肺動静脈瘻(PAVMs)が伴うことがよくあります。この記事では、オスラー病に関連するPAVMsの感染症リスクとその対策について詳しく解説します。

オスラー病と多発性肺動静脈瘻(PAVMs)とは?

オスラー病は、血管形成の異常を引き起こす遺伝性疾患です。
全身のさまざまな場所に動静脈瘻や毛細血管拡張が見られ、特に肺にPAVMsが形成されると、酸素化が不十分になるだけでなく、感染症のリスクも増加します。

感染症のリスクとその理由

1. 脳膿瘍

PAVMsにより、肺で血液が正常に濾過されず、病原体が脳に移行しやすくなります。
脳膿瘍は、これらの病原体が脳内に感染し、膿がたまる状態です。

対策:

  • 定期的な画像診断: 脳のCTやMRIを定期的に行い、異常の早期発見を目指します。
  • 症状の監視: 激しい頭痛、発熱、意識の変化が見られた場合は直ちに医療機関を受診します。

2. 細菌性心内膜炎

血流に乗った細菌が心臓の内膜に感染することで発生します。特に歯科治療などで細菌が血流に入るリスクが高まります。

対策:

  • 予防的抗生物質の使用: 歯科治療や外科手術前に予防的に抗生物質を服用します。
  • 口腔衛生の維持: 定期的な歯科検診と良好な口腔衛生を保ち、細菌感染のリスクを減らします。

3. 全身感染症

PAVMsにより、肺を通過する未フィルタリングの血液が全身に病原体を広げる可能性があります。

対策:

  • 定期的な健康診断: 全身の健康状態をチェックし、感染症の早期発見に努めます。
  • 免疫力の強化: バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心掛け、免疫力を高めます。

日常生活での具体的な注意点

1. 医療管理

  • 定期的な医師の診察: PAVMsの状態をモニタリングし、必要に応じて治療方針を調整します。
  • 感染症の兆候の早期発見: 発熱、頭痛、疲労感などの感染症の兆候があれば、速やかに医療機関を受診します。

2. 予防的抗生物質の使用

  • 歯科治療前の抗生物質投与: 特に歯科治療の前には予防的に抗生物質を使用します。これは細菌が血流に乗るリスクを減らすためです。
  • 外科手術前の抗生物質投与: 外科手術の前にも同様に抗生物質を使用し、感染症の予防に努めます。

3. 生活習慣の改善

  • 健康的な食事: バランスの取れた食事を心掛け、栄養をしっかり摂取します。
  • 適度な運動: 適度な運動を取り入れ、体力と免疫力を維持します。
  • 十分な睡眠: 質の高い睡眠を確保し、体の回復と免疫力向上を図ります。
  • 喫煙・過度の飲酒を避ける: 喫煙や過度の飲酒は免疫力を低下させるため、これらを避けることが重要です。

緊急時の対応

  • 急な発熱、激しい頭痛、呼吸困難、意識障害などの症状が現れた場合は、直ちに救急医療を受けることが重要です。
  • 既往歴の伝達: 医療機関には、オスラー病とPAVMsの既往歴を詳しく伝え、適切な治療を受けるようにします。
  • 意識失うことも考えられるので「オスラー病」患者である事がわかるように防衛することも必用です。

医療的な介入と治療

1. 経皮的カテーテル塞栓術

  • PAVMsの治療には、カテーテルを用いて異常な血管を塞ぐ方法が一般的です。これにより、血液が正常な経路を通るようになります。

2. 手術

  • 場合によっては、外科的手術が必要になることもあります。

3. 定期的なフォローアップ

  • 定期的な診察と画像検査で、治療の効果をモニタリングし、新たなPAVMsの発生をチェックします。

オスラー病とPAVMsに関連する感染症のリスクは高いため、継続的な医療管理と日常生活での注意が非常に重要です。専門医と協力し、個々の状況に応じた最適な予防策と治療法を講じることが求められます。


オスラー病とPAVMsに関する詳細な情報や最新の治療法については、HHTJAPAN専門医や医療機関にご相談ください。健康管理の一環として、定期的なチェックアップと自己管理を怠らないようにしましょう。
オスラー病について詳しい医師は非常に少ないため日頃の情報収集や患者会で患者同士の情報交換が重要です。

Follow me!