HHTQ%&A50より引用

HHT JAPAN: 石黒友也、小宮山雅樹

Q2.なぜ、オスラー病の患者には、血管奇形ができるのですか?

A2. オスラー病の原因遺伝子であるendoglin、ACVRL1(ALK1)、SMAD4はいずれも血管新生やリモデリ
ングを調節しているTGF-βシグナル伝達系に関与しています.遺伝子は父親からのものと、母親からの
ものの一対からなっており、動物実験ではendoglinやACVRL1は一対の遺伝子の両方ともが変異している
場合(ホモ接合体)には胎児期に重大な血管発育不全が生じて致死的となります.一方、一対の遺伝子
のうち片方のみが変異している場合(ヘテロ接合体)ではヒトと同じ頻度ではありませんが、生後に毛
細血管拡張病変や動静脈奇形などの血管奇形が認められます.オスラー病に限らず血管奇形ができる詳
細な機序はまだ分かっていませんが、オスラー病ではendoglinやACVRL1遺伝子の片方の変異によって、
その遺伝子が作るタンパク質が不足するため十分に機能しない(ハプロ不全)ことで血管奇形が惹起さ
れると考えられています.ただしオスラー病の患者さんでも全員に肺、脳、肝臓に動静脈奇形が形成され
るわけではないので、遺伝子異常だけが原因ではなく環境要因も関与していると考えられています.

  1. Whitehead KJ, et al: Arteriovenous malformations and other vascular malformation syndromes. Cold Spring Harb
    Perspect Med 3:a006635.doi:10.1101/cshperspect.a006635, 2013
  2. Thomas JM, et al: Genetic and epigenetic mechanisms in the development of arteriovenous malformations in the
    brain. Clin Epigenetics 8:78 DOI 10.1186/s13148-016-0248-8, 2016

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