オスラー病の鼻血は一般的な「単なる鼻血」ではありません―「鼻腔内における多発性血管障害」として理解していただきたい理由―

オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症:HHT)の患者にみられる鼻血は、一般に想定される「よくある鼻血」とは性質が大きく異なります。
多くの方は、鼻血と聞くと、鼻をこすった、のぼせた、乾燥した、といった一時的な出血を思い浮かべます。
しかし、オスラー病患者の鼻血は、そのような単純なものではありません。

私たちは、オスラー病の鼻血を 「鼻腔内における多発性血管障害」 として位置づけ、社会や医療現場に正しく理解していただく必要があると考えています。

オスラー病の鼻血は、血管そのものの病変によって起こります。
オスラー病では、鼻の中の粘膜に多数の異常な血管病変が生じます。
そのため、出血は単発ではなく、複数の脆弱な血管から繰り返し起こるという特徴があります。
つまり、オスラー病患者の鼻血は、単に「一ヶ所から出血している」のではなく、鼻腔内全体に散在する脆い血管病変が背景にある状態です。
このため、一般的な鼻血のイメージで対応すると、本質を見誤ることがあります。

オスラー病患者の鼻血は、反復しやすく、慢性化しやすく、日常生活に深刻な影響を及ぼします。

たとえば、

といった問題が生じます。

一見すると「鼻血」という言葉で軽く受け取られがちですが、患者にとっては、生活の質(QOL)を大きく損なう慢性的かつ全身疾患に伴う症状なのです。
一般的な鼻血対応では、かえって悪化を招くこともあります
オスラー病の鼻血は、血管が極めて脆弱であるため、一般的な鼻血対応が必ずしも適切とは限りません。

患者には、

・鼻をつまむ

・強い圧迫や刺激的な処置

・下を向かす

・電気焼灼術

・レーザー止血

などはかえって周囲の脆い血管をまで傷つき破壊し、症状が悪化したり止血困難になるケースが少なくありません。医師が鼻腔内を診れば一目瞭然と言われています。また、それらの誤った一般的な止血処置をする事で新生血管が増加し増悪をします。

これは、オスラー病の鼻血が「普通の鼻血」とは異なる病態であるにもかかわらず、同じ発想で処置されてしまうことに原因の一つがあります。
だからこそ、オスラー病の鼻血は
「鼻出血」ではなく、

として理解する視点が重要です。

医療現場でも、病態に応じた認識の転換が必要です。

オスラー病は全身の血管に異常が生じる疾患です。
鼻血もまた、その一部(サイン)として起きている症状であり、耳鼻咽喉科領域だけの単純な局所出血として捉えるだけでは不十分です。

・特にオスラー病の鼻血については、
・出血の背景に多発性の血管病変があること
・再発性・慢性化しやすいこと
・貧血や全身状態に大きく影響すること
・処置の仕方によっては増悪すること
・患者ごとの重症度や経過に差が大きいこと

以上を踏まえた理解が求められます。
患者が安心して治療を受けられる環境を整えるためには、まず医療従事者を含めた社会全体が、オスラー病の鼻血を「単なる鼻血」と見なさないことが出発点となります。

患者の苦しみを見えにくくしてきた「鼻血」という言葉
オスラー病患者の苦しみが十分に理解されにくい理由の一つは、「鼻血」という日常的で軽く聞こえる言葉そのものにあります。
しかし実際には、オスラー病患者の鼻血は、

この認識が広まらない限り、患者が受ける苦痛や生活上の困難、さらには適切な医療や支援の必要性も、十分に伝わりません。

私たちが伝えたいこと
私たちは、オスラー病患者の鼻血について、今後より広く「単なる鼻血ではなく、

という理解が共有されることを願っています。
それは、患者の訴えを正しく受け止めるためであり、
医療の質を高めるためであり、
不要な増悪や苦痛を減らすためでもあります。
オスラー病の鼻血を、一般的な鼻血と同じものとして扱わないこと。
その認識の転換こそが、患者の命と生活を守る第一歩になると私たちは考えています。

オスラー病を認知している耳鼻科医であれば鼻腔内を観察するだけで、脆く拡張した毛細血管であることは診断できますのでオスラー病専門医である日本HHT研究(HHTJAPAN)や当団体にご相談ください。

特定非営利活動法人 日本オスラー病患者会より

日本オスラー病患者会は、オスラー病(HHT)に関する正しい理解の普及と、患者が安心して適切な医療と支援につながる社会の実現を目指して活動しています。
オスラー病の鼻血に関する実態や課題についても、患者の声をもとに継続的に発信してまいります。
皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

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