オスラー病の鼻血は「一般的な鼻血」ではありません

― 鼻腔内のもろい血管を守るための基礎ガイドを公開しました ―

特定非営利活動法人日本オスラー病患者会では、オスラー病(HHT:遺伝性出血性毛細血管拡張症)の患者さんやご家族が、日常生活の中で鼻出血や様々な症状に患者の目線から適切に対応できるよう、「オスラー病鼻血・基礎編ガイド」を制作しました。

オスラー病の鼻血は、一般的に想像される「単なる鼻血」とは異なります。
鼻腔内に多発する毛細血管拡張や血管奇形から出血するため、軽い刺激でも出血しやすく、長時間続いたり、大量出血につながったりすることがあります。

そのため、オスラー病の鼻血では、
「焼かない」
「強く詰めない」
「粘膜と血管を守る」
という考え方が非常に重要です。

オスラー病の鼻血で大切な考え方

一般的な鼻血では、小鼻を強く圧迫したり、ガーゼを詰めたり、出血部位を焼灼する処置が行われることがあります。

しかし、オスラー病では鼻腔内の血管が非常にもろいため、強い圧迫や頻回のガーゼ処置、電気焼灼などが、かえって粘膜を傷つけ、再出血や重症化につながる場合があります。

本ガイドでは、オスラー病の鼻血に対して、血管や粘膜を傷つけないように配慮した止血ケアを、患者さんにも分かりやすく整理しています。

サージセルを使用した止血ケアについて

ガイドでは、酸化セルロース系止血材であるサージセル(2026年5月13日薬剤承認され今後保険適用についての審査が行われます。)を使用した鼻血ケアについても紹介しています。

サージセルは、血液を固めて止血を助ける医療用の止血材料であり、体内で自然に吸収される特徴があります。
オスラー病のように血管がもろい鼻出血では、強く押さえつけるのではなく、出血部位を**「そっと支える」**ように使用することが重要です。

使用にあたっては、以下のような点に注意が必要です。

・清潔な手で取り扱うこと
・鼻の奥まで無理に入れないこと
・吸い込みや誤嚥を防ぐため、口呼吸をしながら落ち着いて処置すること
・大量に詰め込まないこと
・無理に取り出さないこと
・止血しない場合や出血が悪化する場合は、医療機関への相談を検討すること

サージセルは、あくまで一時的な止血を助ける材料です。使用方法や体質によって合わない場合もあるため、不安がある場合は主治医や患者会へご相談ください。

日常生活でできる鼻血予防ケア

オスラー病の鼻血対策では、出血時の対応だけでなく、日常的な予防ケアも大切です。

特に重要なのは、鼻腔内を乾燥させないことです。
ガイドでは、以下のような保湿・予防ケアを紹介しています。

・室内の加湿
・鼻腔内の保湿
・ヒアルロン酸目薬0.1%、ワセリン、アズノール軟膏などの活用
・鼻を強くかまないこと
・入浴後や就寝前の保湿習慣
・貧血の定期的な検査と治療

慢性的な鼻出血は、鉄欠乏性貧血の原因となることがあります。
そのため、鼻血の回数や量だけでなく、血液検査による貧血管理も重要です。

オスラー病は全身性の血管疾患です

オスラー病は、鼻血だけの病気ではありません。
肺、脳、肝臓、消化管など、全身の血管に異常が生じる可能性がある指定難病です。

特に、肺動静脈奇形、脳血管奇形、肝臓血管奇形、消化管出血などは、早期発見と適切な検査・治療が重要です。

本ガイドでは、鼻血への対応だけでなく、オスラー病の基本情報、肺合併症、肝臓病変、貧血、鎮痛剤使用時の注意点などについても、患者さん向けに分かりやすくまとめています。

医療機関を受診する際のお願い

オスラー病患者さんが医療機関を受診する際には、必ず
「オスラー病であること」
「鼻腔内の血管が非常にもろく、一般的な鼻血処置では悪化する可能性があること」
を伝えることが大切です。

また、インフルエンザや新型コロナウイルス検査などで鼻腔ぬぐい液による検査を行う場合、鼻腔内の脆弱な血管を傷つける可能性があります。
必要に応じて、検査方法について医療者に相談してください。

患者さん・ご家族へ

オスラー病は難治性の指定難病ですが、正しい知識、適切な検査、日常ケア、専門医療との連携によって、重篤な合併症を予防し、生活の質を改善することが可能です。

鼻血が多いことを「体質」や「いつものこと」として我慢せず、適切な情報と支援につながることが大切です。

日本オスラー病患者会では、今後も患者さん、ご家族、医療関係者の皆さまに向けて、実際の患者経験に基づいた情報発信と啓発活動を続けてまいります。

ガイドについて

資料名: オスラー病鼻血・基礎編ガイド Ver7.0
制作: 特定非営利活動法人日本オスラー病患者会
著作: 特定非営利活動法人日本オスラー病患者会/村上匡寛
目的: オスラー病患者さんとご家族が、鼻出血への基礎的な対応と日常ケアを理解するための情報提供資料

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