重症の鼻出血に苦しむ患者にとって、効能追加承認・保険適用されました

特定非営利活動法人 日本オスラー病患者会では理事長自ら、オスラー病/HHT患者の重症鼻出血に対する止血材「サージセル」の安定的な使用に向けて、2025年8月から厚生労働省への要望書提出、患者会員データの分析、止血困難事例の整理、署名活動などを続けてまいりました。

効能追加承認

ジョンソン・エンド・ジョンソン社より、サージセルについて、2026年5月13日付で医療機器としての効能追加承認が確認されたとの連絡を受けました。

保険適用承認

これまでの経緯

2024年4月以降、それまで処方されていた止血材が、突然「手術材料」として区分変更され、患者が従来のように処方を受けることが困難となる事態が生じました。

これにより、これまで在宅や外来で止血できていた患者が止血困難となり、救急要請をせざるを得ない事例が増加しました。

しかし、救急要請をしても受け入れ先が見つからない、医療機関でオスラー病の鼻出血に適した止血処置を受けられない、結果として輸血に至るなど、患者が生命の危機を感じる深刻な状況が生じていました。

オスラー病患者にとって、鼻出血による受診拒否や診療困難は決して珍しいことではなく、日常的に起きている大きな問題です。

オスラー病の鼻血は、一般的な鼻血とは異なります

オスラー病/HHTの鼻出血は、一般的な鼻血とは異なります。

鼻腔内に多発する毛細血管拡張や血管奇形から出血するものであり、当会ではこれを「鼻腔内多発性毛細血管出血」として捉えています。

通常の鼻血に対して行われる強い圧迫、ガーゼパッキング、焼灼などの処置が、オスラー病患者ではかえって血管を傷つけ、出血を悪化させたり、止血困難に陥らせたりすることがあります。

これまでも、多くの患者が「通常の鼻血とは違う」「強く押さえると悪化する」「ガーゼを抜く時に再出血する」と説明してきました。

しかし、医療現場や救急現場で十分に理解されないこともあり、患者は長年にわたり、極めて厳しい状況に置かれてきました。

患者自身が止血方法を研究し、理解ある医師とともに道を開いてきました

このような状況の中、日本オスラー病患者会の理事長は、数年前からサージセルの使用方法について研究を重ね、全国でも限られた数名の理解ある耳鼻咽喉科医師に相談しながら、オスラー病患者が自ら止血できる方法を模索してきました。

サージセルを適切に使用することで、患者自身が出血をコントロールできるケースが増え、救急搬送や過度な処置を回避できる可能性が見えてきました。

しかし、制度上の区分変更により、患者が必要な時に必要な止血材を使用できない状況となったため、当会は厚生労働省に対し、オスラー病患者の実態と止血材の必要性を訴え続けてまいりました。

2万人を超える署名への御礼

日本オスラー病患者会では、オスラー病/HHT患者の重症鼻出血に対するサージセルの安定的な使用を求め、署名活動を行ってまいりました。

その結果、2万人を超える皆さまからご賛同をいただきました。

署名にご協力いただいた皆さま、患者・ご家族の声を届けてくださった皆さま、医療現場で理解を示してくださった先生方、関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。

今回の効能追加承認は、患者本人、家族、支援者、医療関係者、企業、行政の取り組みが重なった成果であり、希少難病であっても、患者の声が制度を動かし得ることを示す重要な一歩です。

今後の課題について

今回の効能追加承認は大きな前進ですが、承認されたという事実だけで、すぐに全国の患者が安心して使用できる状況になるわけではありません。

今後は、以下のような課題について整理が必要です。


●多発性肺動静脈瘻(PAVM)治療における塞栓用コイルの実質的な使用制限(医療費カット)がもたらす患者負担の肉体的精神的負担の増大と医療費の浪費

●オスラー病の肝血管奇形は、高心拍出性心不全や肺高血圧症を引き起こすことがあります。早期発見と適切な病型診断のため、HHT・循環器・肺高血圧の専門医による連携診療の普及を求めます。

●医療機関、医師、薬局、薬剤師への全国的な周知と

●医師による適切な使用指導体制の整備

●患者に分かりやすいオスラー病患者向け使用ガイドブックの作成

●夜間、休日、救急時を含む供給体制の確保

●供給開始後の使用状況、安全性及び課題の把握

●患者会を含む継続的なPPI体制の構築医療機関での取り扱い

日本オスラー病患者会では、今後も厚生労働省、関係企業、医療機関、医療関係者と連携し、必要な患者が必要な時にサージセルを使用できる体制の整備を求めてまいります。

医療関係者の皆さまへ

オスラー病/HHTの鼻出血は、一般的な鼻血ではなく「鼻腔内多発性毛細血管出血」であり、一つのサインであり多くの患者には全身の血管に異常が生じる遺伝性の難病です。
この病気をご理解頂きますようお願いします。

鼻腔内に多発する毛細血管拡張や血管奇形からの出血であり、強い圧迫、ガーゼパッキング、焼灼などの一般的な処置によって、かえって出血が悪化する場合があります。

オスラー病患者が「通常の鼻血とは違う」「圧迫やガーゼで悪化する」「サージセルで止血している」と説明した場合には、患者の経験を軽視せず、病態に応じた慎重な対応をお願いいたします。

重症鼻出血のある患者にとって、適切な止血材を使用できるかどうかは、救急搬送、輸血、貧血悪化、生活困難を左右する重要な問題です。

当会では、今後も医療関係者の皆さまに向けて、オスラー病の鼻出血の特殊性と止血対応について情報発信を続けてまいります。

患者・ご家族の皆さまへ

今回の効能追加承認は、重症鼻出血に苦しむ患者にとって、大きな希望となる一歩です。

ただし、保険適用や実際の医療機関・薬局での運用が整うまでには、一定の時間を要する可能性があります。

現在、サージセルの使用継続に不安がある方、かかりつけ医や薬局への説明に困っている方、重症鼻出血により日常生活に支障が出ている方は、日本オスラー病患者会までご相談ください。

当会では、今後も状況を確認しながら、必要な情報を会員の皆さまへお知らせしてまいります。

日本オスラー病患者会 理事長コメント

オスラー病の鼻出血は、一般的な鼻血ではありません。鼻腔内に多発する毛細血管拡張や血管奇形からの出血であり、一般的な止血処置によって重篤化することもあります。

患者はこれまで、何度も出血し、何度も説明し、それでも理解されず、救急搬送や受診拒否、輸血に至るような厳しい状況に置かれてきました。

今回のサージセル効能追加承認は、2万人を超える署名にご協力いただいた皆さま、患者・家族の切実な声、そして少数の理解ある医師の協力があって実現した大きな一歩です。

しかし、承認はゴールではありません。全国の医療現場に正しい情報が届き、オスラー病患者が必要な時に安心して止血材を使用できる体制が整ってこそ、患者の命と生活を守ることにつながります。

日本オスラー病患者会は、今後も患者の立場から、医療現場、行政、企業に働きかけを続けてまいります。

Follow me!