鼻出血時の注意事項!

  • 電気焼灼術、レーザー、ガーゼ挿入、薬剤による止血は生命の危機あるとき以外は禁止
  • 圧迫や強い圧迫止血は厳禁:周りの脆い拡張している血管を更に破壊してしまうため。以下の画像参照*1
  • ティッシュペーパー使用禁止
  • 必ず柔らかい綿球を使用する
  • 下を向かない:正面を向き鼻の血管に圧力がかからないようにする
  • 綿球で空気を遮断、綿球は奥まで入れない
  • 出血時の水分補給(薄めのスポーツドリンク)を行い血圧を下げるように努める
  • 鼻充血を避ける:酷い時は市販の点鼻薬を規定の1/2程使用する
  • 耳鼻科医には鼻をつままさない
  • サージセルなど止血剤を使用するよう要望する

たかが鼻血ではありません!!

オスラー病患者の鼻血止血法は一般の鼻血止血法とは全く異なります
しかし、耳鼻科医・看護師・救命士が「オスラー病」の鼻血止血法を知らないため、重篤な症状にされる患者が多数います。
多くの問題点が存在し、患者さんやその家族にとって大問題で生命維持にも影響するものです。
くり返す鼻出血は日常生活(QOL)に大きな影響を与え、適切な医療対応が求められます。

オスラー病の鼻血止血法(患者会推奨)

止血材料があればほぼ止血可能です。

最も最適な止血材料は医療用(手術材料)の「サージセル」です。
しかし、処方薬から手術材料に移行されたため入手できない状況になっています。
これについては、緊急使用などの行動を起こす必要がありますので追ってメンバあー宛に連絡します。
また、このような緊急事態にお力を貸してもらえるか違いましたらご連絡ください。
薬局やドラッグストアで購入出来る可能性がある止血材料は、「チケア」「プラスモイストHS-W」等ですがサージセルには効果が劣ります。
使用法は以下の通りで少量で出血部分に当たればほぼ止血可能です。
なお、強い圧迫止血は厳禁です。

⑴出血前の注意点
 止血材料をそのまま使用しないこと

⑵事前準備
 手洗い消毒する
 止血材料を薄く加工する
  サージセル・プラスモイストHS-Wは1/2~1/3に薄くする
  チケア1/2に薄くする
③消毒したハサミで8㎜×10㎜程に加工する
④出来上がった物を乾燥剤を入れたケースに入れ保管する

⑶使用法
 綿球を両手で揉みほぐしその上に止血剤を乗せて出血点に持って行き軽く押さえる。
 出血点に当たれば数分で止血できるが、30分以上そのままで空気を通さない方が良い。
 止血できない場合は、上記をくり返す。
 くり返しても止血できない場合には出血点に止血剤が当たっていない可能性があるので場所を変えてみる。

⑷ポイント
 オスラー病の鼻血が分かる医師に出やすい場所を確認する。
 出血の多い日は止血後、綿球にワセリンを塗布して空気を遮断する。
 日常の保湿にも綿球を活用する事でキズを付けないように出来る(予防)

⑸意外と知らないヒント!
 オスラー病では、血管壁の構造に異常があり、特に鼻腔内の毛細血管が破れやすくなっています。そのため、以下のような作用をもつ成分は「止血を遅らせる要因」になりうるため、出血中や出血傾向が強い時期には摂取を控える/調整することが勧められます。

意外と効果あります:控えるべき主な「血液をサラサラにする」食品・サプリ一覧

成分/食材特徴・作用補足
EPA/DHA(青魚、魚油)血小板の凝集抑制=出血傾向を強めるサプリでの大量摂取は特に注意
ビタミンE抗酸化作用+抗凝固作用サプリで高容量になると影響あり
にんにく・生姜・玉ねぎ血栓予防作用が強い生・サプリでの多量摂取に注意
納豆(特にナットウキナーゼ)フィブリン溶解作用がある(血栓溶解)出血中は避けることが推奨される
クルミ・アーモンドなどのナッツ類ビタミンEが豊富適量なら問題ないが、サプリと併用注意
ウコン(ターメリック)クルクミン成分に抗血小板作用健康食品やドリンクによく含まれる
ビタミンC(高用量)血管透過性や抗凝固作用に影響あり通常の食品量では問題ない
高濃度ポリフェノール(赤ワイン、緑茶抽出物など)血小板抑制作用ありサプリや濃縮ドリンクは控えめに

オスラー病患者の鼻腔内血管状況

毛細血管拡張(Telangiectasia)

  • 鼻腔内の毛細血管が異常に拡張し、表面に近くなるため非常に脆くなります。
  • これらの血管は正常な血管よりも薄く、破れやすいため、軽微な刺激や温度変化でも出血しやすくなります。
  • 毛細血管拡張は主に鼻中隔、鼻翼、鼻孔周囲に見られます。

鼻出血の頻度と重症度

  • 鼻出血はオスラー病患者のほぼ全員に見られる症状で、頻度や重症度は個人によって異なります。
  • 出血の頻度は週に数回から毎日、出血量も少量から大量まで幅があります。
  • 重症の場合、出血が止まりにくく、貧血や鉄欠乏症を引き起こすことがあります。
  • 加齢により増加する傾向があります。

出血の引き金

  • 乾燥した空気、アレルギー反応、風邪などの鼻粘膜の炎症が出血を引き起こしやすくなります。
  • 物理的な刺激(鼻をかむ、鼻を触るなど)、くしゃみ、下を向くなども出血の原因となります。

鼻腔内の出血管理と治療

鼻腔内画像*1

予防措置

  • 鼻腔内を湿らせるためにワセリンや純蜂蜜の塗布(蜂蜜アレルギーには注意)、生理食塩水スプレーや加湿器の使用が推奨されます。
  • 刺激を避けるために、鼻を強くかむのを避け、アレルギーの管理を行います。

推奨されない局所治療

  • 強い圧迫止血 これにより他の血管も破損し更に出血を起こしてしまう。
  • 電気焼灼術・化学薬品を用いて異常血管を焼灼し、一時的に出血を防ぎますが、その後重篤な症状になる患者が多い。
  • レーザー治療:拡張した毛細血管をレーザーで焼灼することで出血を減らしますが、その後重篤な症状になる患者が多いです。

薬剤

  • トランサミン(止血剤)・アドナは鼻血増える患者多数、服薬中止で改善し止まる方もいますので推奨していません。

重症例の治療

  • 鼻粘膜の再建手術や移植手術が検討される場合があります(十分慎重な検討が必要です)。
  • 緊急の場合は鼻タンポンやカテーテルを用いた圧迫止血が行われます。一時的に効果はありますが、周辺の脆い拡張血管を破壊するため重篤な症状になることがあるので注意が必要です。

生活管理

日常生活の工夫

  • 鼻腔内を乾燥させないよう注意し、加湿器や生理食塩水スプレーを使用する。
  • 衝撃を避けるため、スポーツや激しい運動は控える。
  • 出血が頻繁に起こる場合は、医師の指導の下、鉄剤の補給や輸血を行う。

定期的な医療チェック

  • 専門医による定期的な検査を受け、適切な治療と予防策を継続的に行うことが重要です。

オスラー病の鼻腔内の血管状況は非常にデリケートで、適切な管理と治療が不可欠です。患者会やHHTJAPANなどの医療専門家との綿密な連携を通じて、出血の頻度や重症度をコントロールし、生活の質を向上させることが目指されます。

よくある問題とその対処法

1. 頻繁に繰り返す鼻出血 オスラー病の患者は、普通の人よりもはるかに頻繁に鼻出血を経験します。この繰り返し発生する鼻出血は、患者さんの日常生活や仕事に大きな障害をもたらすことがあります。

2. 耳鼻科医による診療拒否の問題 残念ながら、患者会にはオスラー病に対する理解が不足しているため、耳鼻科の医師による診療拒否が報告されることがあります。これにより、オスラー病の診断・適切な治療を受ける機会が限られてしまう場合があります。

3. 不適切な処置の問題 オスラー病の患者に一般的な鼻出血の治療と同じ治療が行われることがあり、これが逆効果になり重症化することがあります。オスラー病においては、鼻の血管が非常に脆いため、強く鼻をつまんだり、電気焼灼術、パッキング、レーザー止血などの処置が逆に出血を悪化させます。これらを防ぐにはオスラー病に詳しい耳鼻科医を探すか、医師に明確に主張することが重要です。

4. 専門医の受診が重要 オスラー病の鼻出血に対しては、この病気を理解し、適切な治療を提供できる専門医の受診が推奨されます。専門医による適切な診断と治療は、出血の頻度を減少させ、患者さんの生活の質を向上させることができます。

まとめ

オスラー病は日常生活に影響を及ぼす可能性のある重要な病気であり、患者さんと医療提供者の間での理解と協力が不可欠です。患者さん自身が病気について知識を持ち、専門医の受診を心がけることが、この病気による困難を克服する鍵となります。

実践編:鼻血の問題点と対処法

耳鼻科などで止血処置を受ける場合

  • 「サージセル」などの止血剤で治療するように要請することが必要です。
  • 詳細は、HHT Q&A冊子(P14~17)を参照。

鼻血の日常のケアと止血

  • 基本は保湿(ワセリンや純蜂蜜の塗布:蜂蜜アレルギーには注意)
  • トランサミン錠などの止血剤の服用(医師に相談する)
  • ティッシュペーパーの使用禁止
  • 緊急時以外は止血の電気焼灼術やレーザーは不可です。止血が困難になったり、血管拡張が憎悪する可能性があります。メンバーの中には、これらの処置を繰り返したために止血困難になり、毎週救急搬送され輸血を行っている方もいます。

緊急時

  • サージセルなどの止血材料を使用し、軽く圧迫止血することが基本です。
  • 重症(命に関わるような状況)でやむを得ない場合を除き、「パッキング」(ガーゼを鼻腔に詰め込む)することは、オスラー病の多数ある脆い血管を傷つけてしまい、処置後に鼻血が悪化し止血困難になるケースが後を絶ちません。

オスラー病の患者には「ボスミン」による血管収縮は期待できず、ガーゼを抜こうとすると再出血の原因となるため、ガーゼパックの操作は意味がないとされています。

参考資料

自身で申告できない方は以下のPDFを印刷して、主治医に渡してください。

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